現代の子供たちの体力は二極分化しています。
ひとつは、スマホでゲームばかりしていて体は全く使わず、頭ばかりが大きくなって、体力の低下が著しいグループです。もう一つは、少年野球や少年サッカーにみられるように、スポーツを一生懸命して体を鍛えているグループです。
後者は一見良いように思われますが、勝負にこだわるあまり、練習をし過ぎて、かえって体を壊してしまう弊害も出ています。少年野球でいうと、野球肩や野球肘がそれに当たります。
野球肘は気付くのが遅れると、肘の変形や痛みが残って、野球が出来なくなることもあります。
こういったスポーツ障害が起こらない様に、日本整形外科学会では少年野球をする子供たちやその指導者たちに、「長く野球を楽しむための10の提言」を発表しています。今年発表された最新のものが以下の内容です。少年野球をされる方は是非参考にして下さい。
- 全力投球数が1日50球以上や週に200球を超える選手の障害の発生率は明らかに高い。将来とも長く野球が続けられるよう、全力投球はこれ以下の数をしっかり守ること。
- 小学生の練習は、1週間に3日以内、1日3時間を超えないこと。
- 練習前後のウォームアップ、クールダウンには十分な時間をかけ、少なくとも20分以上を励行すること。
- 毎週月曜日をセルフチェックの日と定め、指導者や保護者は、身体の痛みや肘の曲げ伸ばしの範囲に注意すること。
- 少子化でチームの人数が少ない場合、特定の選手に過重な負担がかからないように注意すること。
- 障害の発生の初期段階では4,5日練習を休むと痛みが無くなることがある。まだ少しでも痛みがある時や再び痛みが出た時は整形外科受診が望ましい。
- 練習以外の自宅でのトレーニングが過重にならないこと。身体の緊張をほぐすため1日数回のストレッチを習慣づけるように指導し、過重な筋力トレーニングは行わせないこと。
- 全力投球しないシーズンオフを少なくとも3か月もうけること。例えば守備練習で捕球のみとし、全力送球をしない練習内容とする。
- 一人の選手が1年間で出場するのは70試合以内とするのが望ましい。
- スポーツ障害の予防は、指導者、保護者の緊密な連携が大切で、整形外科専門医の定期的な検診を受ける仕組みを設けること。