中年以降の方が、膝に水が溜まって痛いからみてほしいと、よく来院されます。
これは膝の軟骨の老化現象が原因となって起こる、変形性膝関節症という病気です。膝を長い間酷使していると、軟骨が少しずつすり減って、関節が変形してきます。最初のうちは階段の上り下りの時に膝が痛む程度ですが、進行すると水が溜まるようになり、次第に膝が変形し、O脚となって来ます。
患者さんに「これ以上軟骨をすり減らさない様にするには、カルシウムが必要でしょうか?」とよく質問されます。
これは軟骨の老化現象と、骨の老化現象である骨粗鬆症とを混同している質問です。
骨のカルシウムが減ってくる骨粗鬆症には、カルシウム剤は確かに有効です。しかし軟骨の構成成分の中にはカルシウムは含まれていません。同じ骨という文字が入っていますが、軟骨と骨とはまったく違った組織なのです。軟骨は軟骨細胞とコラーゲンとムコ多糖から構成されています。ですからカルシウム剤を飲んでも、軟骨の栄養補給にはまったくなっていないのです。
現時点では軟骨を強くする方法はありません。サプリメントとしてグルコサミン、コンドロイチン、コラーゲンなどが市販されていますが、これらが変形性膝関節症に有効だという、万人を納得させるデータは今のところ出ていません。
年とともに軟骨が少しずつすり減って行くのは仕方ありません。すり減って行くスピードを速めないことが肝心です。これに最も関係するのが、体重です。やはり太っている方ほど軟骨は速く磨耗します。肥満の方はダイエットして体重を落としましょう。そうすれば磨耗のスピードが遅くなり、変形性膝関節症の予防につながります。
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